【アイマス】響「自分たち、家族だからな!」【SS】

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 16:49:00.85 ID:6y26PxMA0
 はいさーい! 自分、我那覇響!
 沖縄生まれ沖縄育ちの16才!
 ターリー……お父さんが亡くなってからの実家の家計を支えるために今は東京に来てお仕事もしてるさー!
 こっちの高校に通いながら、なんとアイドルをやってるんだぞ。自分、かわいいからな! えへへ。

 でもいざ入ったアイドル事務所はちょっと変わってて……所属してるアイドルは自分一人だけなんだ。

 いや、正確には『人間のアイドルは自分一人だけ』だ。

2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 16:50:32.78 ID:6y26PxMA0
ガチャリ

犬「わん!」

響「………」

猫「」ゴロゴロ

豚「」ブヒッ

響「……お腹空いてるのか? 餌なら社長に言ってよ、まったく……」

 そう、ここは動物アイドル専門の事務所なんだ。犬や猫はもちろん、オウム、ハムスター、豚などがいる。
 奥の部屋にはワニや蛇までいる。……ちょっと怖いぞ。

 なんで自分がそんな事務所にいるのかって?
 ……さあ? 人間も動物ってことで。違う?

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 16:53:17.68 ID:6y26PxMA0
犬「くーん」スリスリ

猫「にー」ゴロゴロ

響「え、ええい、離れるさー! 今日は暑いし、自分疲れてるんだ!」

犬「くぅーん…………」ショボーン

響「うぐ……こ、こっちこそ怒鳴ってごめん。もうすぐ社長が来るから、そしたら構ってもらってよ」フイッ

 動物は好きでもないし、嫌いでもない。……実を言うと、ちょっとだけ苦手だ。
 それは気持ち悪いとか噛まれるのが怖いとかそういうんじゃなくて、自分の体質(?)が原因なんだ。

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 16:56:03.00 ID:6y26PxMA0
 動物の気持ちがわかる人っているでしょ?
 「あ、今お腹空いてるな」とか、「散歩に行きたいんだな」とか。まあ、犬や猫は表情もあるしわかりやすいんだけど。
 自分、あれが極端なんだ。ほとんど会話に近いことができる。

 それで、ちっちゃい頃に自分、鳥が車に跳ねられる瞬間に出くわしちゃったことがあるんさー。
 びっくりしすぎて、思わずその場に吐いちゃった。もちろんその光景がショッキングだったこともあるんだけど、そのとき、その子の苦しんでる声が聞こえちゃったんだよね。

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 16:59:09.92 ID:6y26PxMA0
 泣きながら逃げるようにして帰ってきた自分を見て、お父さんは酷く慌ててた。
 自分は全部話したんだ。車に鳥が轢かれたこと、まだ生きてたかもしれないのに逃げたこと、声が聞こえたこと。
 そしたら、お父さんは自分を抱き上げて膝の上に乗せてくれた。それで、
「動物の声が聞こえるのは、響の心が綺麗な証拠だ」
 って、泣きじゃくる自分の頭を撫でてくれた。

 私が泣きやんだ後、お父さんはどこかへ出かけていった。多分、鳥を供養しに行ってくれたんだと思う。

 膝の上、あったかかったなぁ……。

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 17:03:56.88 ID:6y26PxMA0
 お父さんのおかげでトラウマにこそならなかったけど、未だに動物の声を聞くのは苦手だ。
 だから正直、この事務所にいるのは辛い。なるべく動物たちと関わらないようにしてるんだけど……。

犬「♪」フリフリ

猫「」スヤスヤ

オウム「オハヨー! オハヨー!」バサバサ

豚「」ブヒッ

響「…………」

 どういうわけか、懐かれてしまっている。

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 17:08:08.76 ID:6y26PxMA0
 そんな自分のアイドルとしての仕事はまだあんまりない。
 犬や猫と一緒に営業だったり、動物番組だったりがちらほらある程度。
(社長曰く、『君がいたほうが動物たちの機嫌が良い』)
 
 なのでバイトを掛け持ちしつつ、自分の生活費を稼ぐ毎日。
 実家に仕送りなんて夢のまた夢、って感じだけど、それなりに順調な生活。
 ーーのはずだった。

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 17:11:25.27 ID:6y26PxMA0
…………

響「と、倒産!?」ガタッ

社長「すまないねぇ……このご時世、動物アイドルというのは難しかったようだ。費用もかかるし……」

響「そ、そんな……自分、まだ何もアイドルらしいことしてないぞ!? 歌歌ったり、踊ったり、舞台で『ありがとー!』って叫んだり……」

社長「いや、そもそもうちそういう事務所じゃないし……」

響「…………」ズーン

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 17:15:24.07 ID:6y26PxMA0
響「わかったぞ……お世話に、なりました」フラフラ

響「」チラッ

犬「?」フリフリ

 この子たちともお別れか。これから先お互いどうなるかわからないけど、元気でね。

猫「」ジー

ハムスター「」ジー

 ……なんだよ。そんな目で見たって何も無いぞ。
 そうだぞ。自分のことだけで手一杯なんだから、動物たちのことなんて気にしてる場合じゃ……

響「…………なあ、この子たちはどうなるんだ?」

社長「ううむ、引き取り先が見つかればいいんだが……今のところ芳しい返事をもらえたことがなくてね」

響「それって……もしこのまま見つからなかったら……」

社長「最悪の場合は、申し訳ないことだが……」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 17:18:50.06 ID:6y26PxMA0
響「! そ、そんなの……」

社長「?」

響「そんなのダメさー!」バンッ

社長「!?」ビクッ

 殺させないぞ! 殺させるもんか!
 この子たちは……自分が……!

…………

響「ペット飼わせてください!」ゲザー

大家「ええ!? まあ騒がないなら大丈夫だけど……あんまり隣人さんとトラブルにならないように気をつけてね?」

響「あ、ありがとうございます!」ゲザー

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 17:21:22.46 ID:6y26PxMA0
大家「それで、何を飼うの?」

響「え、ええと、ハムスターとオウム……とか」ボソッ

大家「なぁんだ、それならあんまり心配しなくて大丈夫ね」

響「あ、あはは……」

 ごめんなさい大家さん。問題ありそうなのが結構います。

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 17:24:26.67 ID:6y26PxMA0
ガチャッ バタン

響「ふぅ……」

犬「♪」フリフリ

響「お前はいつも楽しそうでいいね」

 はぁ、なんでこんなことに……。
 お仕事も無くなっちゃったし、動物たちも引き取っちゃうし、どうしよう……今更沖縄に帰るわけにもいかないぞ……

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 17:28:34.69 ID:6y26PxMA0
 連れてきた動物たちは、ハムスター、蛇、シマリス、オウム、うさぎ、猫、ワニ、豚、犬、モモンガ……あの事務所、こんなに動物いたのか。
 とりあえず動物たちの餌は事務所からもらったからしばらく困らないとしても……問題はみんな一緒の部屋で大丈夫かってことなんだよね。

ガタン ガタン

 そんなことを言っていたら、さっそく隔離していた問題児が暴れ始めたみたいだ。

響「!? お風呂場から……」

ワニ「」ジタバタ

響「ち、ちょっ! 暴れないで!」

響「ストップ! 仕方ないだろ! みんなと一緒にするのは危ないと思って……」

ワニ「」ピタッ

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 17:33:12.80 ID:6y26PxMA0
ワニ「」パクッ パクッ

響「え? 心配しなくてもみんなを食べたりしないって?」

響「そ、そうなのか……事務所にいたときは別の部屋だったからてっきり……」

響「まあ、社長にはそんなことわからないもんね」

響「ごめんな、狭いところに閉じこめたりして」ナデナデ

ワニ「♪」

響「……肌、カッチカチだな」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 17:39:16.70 ID:6y26PxMA0
…………

響「名前、決めないとね」

 事務所にいたころはちゃんと名前があったんだろうけど、知らない子もいるから、どうせならみんな自分がつけちゃうぞ!
 うーん、でもあんまり凝った名前にするとわからなくなっちゃうから……

響「ハム蔵、へび香、シマ男、オウ助、うさ江、ねこ吉、ワニ子、ブタ太、いぬ美、モモ次郎! これでどう?」

一同「」シーン

 どん引かれた。

響「じ、自分バカだから、これくらいじゃないと覚えられないんだ……ごめん……」ズーン

いぬ美「……わんっ!」

響「お、おお、気に入ってくれたか! ありがとう、いぬ美!」

響「あ、自分は響! 我那覇響だぞ! よろしくな!」

オウ助「ヒビキ、バカダカラwwwヒビキ、バカダカラwww」

響「う、うるさいぞ、オウ助!」

 その後他のみんなも(しぶしぶながら)名前を受け入れてくれた。
 嬉しかったなぁ。

 ……ま、まあ、寂しさを紛らわすくらいにはなるかな!

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 17:46:07.60 ID:6y26PxMA0
…………

響「ただいまー! 今日はみんなにプレゼントがあるぞ!」

一同「」wktk

 みんな一斉に目を輝かせ始めた。現金なやつらだなー、まったく。

 買ってきたのはモモ次郎、オウ助、へび香用の止まり木と、いぬ美たちの寝床用のクッションと毛布。
 ワニ子の背中をきれいにしてあげるためのブラシ。ハム蔵の新しいケージ。みんなが退屈しないようにおもちゃを色々。それと……

響「いっぱい買って来ちゃったなー。でもこれぐらい無いとみんな不便だもんね。ふあぁ……」

ねこ吉「にゃー」ペロペロ

響「ん? 大丈夫だよ、ねこ吉。バイト増やしたばっかりで、ちょっと忙しくて眠いだけ。すぐ慣れるさー」

 でも、疲れちゃったから今日は早めに寝ようかな。
 おやすみ、みんな。

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 17:52:16.48 ID:6y26PxMA0
 ねこ吉に大丈夫とは言ったものの、正直最近あんまり眠れていない。
 バイトと学校漬けの毎日で忙しいっていうのもあるけど、これからどうするのかっていう不安と、がらりと変わった環境によるストレスが原因なんだと思う。

 沖縄でのんびり自由にしてたころが懐かしい。学校が終わったら友達と海に行って、お腹が空いたら近くのお蕎麦屋さんに入って……あ、ソーキそば、食べたいなぁ。

響「心が綺麗なだけじゃダメなのかな……ターリー」

 ちょっとだけ泣きたくなって、布団にくるまって声を殺して泣いた。

 そのまま寝てしまったようで、気がついたときにはもう朝。
 布団をめくって身体を起こすと、いつもはそれぞれの寝床で寝ているみんなが、何故か自分の布団の周りに集まって寝ているのに気づいた。
 また涙が出てきちゃったぞ……

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 17:58:30.57 ID:6y26PxMA0
…………

 うー、今日は朝から頭が痛い……。学校はお休みだけど、お弁当屋さんのバイトが入ってるからがんばらないと。

響「な、なんくるないさー! ……ゔっ、大声出したから頭痛が……」

オウ助「ナンクルナイサーwwwナンクルナイサーwww」

響「なんでお前はいっつもそんなに人を小馬鹿にした感じなんだ?」

オウ助「ヒビキ、バカダカラ!www」m9

響「こ、この……!」プルプル

 おっと、オウ助の相手なんてしてたらバイトに遅れちゃう。
 それじゃ、行ってきます、みんな。いい子にしてるんだぞ。

ハム蔵「」ジー

響「……ハム蔵も。行ってきますだぞ」

ガチャッ バタン

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 18:03:53.09 ID:6y26PxMA0
 みんながうちに来てしばらく経つけど、ハム蔵だけは自分と話をしてくれない。
 シャイなのか、無口なのか、もしくはまだ自分に心を開いてくれていないか。

 ハム蔵についてわかっていることは、まずケージに入れなくても大丈夫だったということ。
 うちにいる動物の中で、ハム蔵はかなり賢い方だ。そのせいか、割とみんなの中での立場は上みたい。
 この前なんかワニ子の頭の上で寝てたし。

響「ハム蔵とも仲良くなりたいなぁ……ハム蔵なら肩に乗せてお散歩できちゃうかも、なんてね」

 少しふらつく足取りでバイトに向かう途中、ずっとそんなことを考えていた。

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 18:08:20.62 ID:6y26PxMA0
おばちゃん「響ちゃん、ホントにがんばってくれてるから、うちも助かってるわ」

 おばちゃんはお弁当屋さんの店長さんだ。すごく優しくて、いつも自分の生活のことを気にかけてくれる。

響「い、いやあそれほどでも」テレテレ

おばちゃん「あなたが来てからお客さんとっても増えたのよー? 特に、近くの高校の男子生徒がよく来るようになったわ」ニヤニヤ

 そ、そうなのか。嬉しいやら恥ずかしいやら……複雑だぞ。

おばちゃん「でもがんばりすぎて、無理してないか心配だわ。今日、ちょっと体調悪そうだし」

響「そ、そんなことないぞ! 自分はいつでも元気さー!」

 自分、こんなとこでへこたれてる場合じゃないんだ。
 自分の食費を切り詰めてでも、みんなの明日を守るんだ!

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 18:13:12.78 ID:6y26PxMA0
…………

おばちゃん「今日もご苦労様。はい、これ。いつも余り物で悪いわねぇ」

響「ううん、とっても助かるさー。いつもありがと、おばちゃん」

 お弁当屋さんのバイトがある日は、その日のお弁当の余りをもらえるから、晩御飯を買う必要がない。すごく経済的だ。

響「さ、帰ろう……かな」フラフラ

 疲れが一気に来たのか、脚が思うように動かなくなっていた。

響「あ、これはちょっと……ヤバいかも……」

 今六時だから、家につくのは七時ごろかな。帰ったらすぐ寝よう。そうしよう。

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 18:19:11.96 ID:6y26PxMA0
 駅前の大通りを抜ければ、我が家は近い。
 ぼんやりと、明日になっても体調が戻ってなかったときのことや、みんなの餌が少なくなってきたことを考えつつ歩いていると、

ドンッ

 人とぶつかってしまった。

「は、はわぁ! ごめんなさい、大丈夫ですかぁ!?」アセアセ

響「大丈夫。こっちこそ、前見てなくて、ごめんね」

 しきりに頭を下げる女の子を適当にあしらって(自分、酷いヤツだ)、一層ふらつく足取りでまた家を目指す。

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 18:24:57.92 ID:6y26PxMA0
「だ、大丈夫かな……?」

「ねーちゃん! 何やってんの早くー! お魚売り切れちゃうよ!」

「あ、うん!」

 背後でそんな声が聞こえた。姉弟で買い物か。羨ましいなぁ。
 沖縄にいたころはにぃにと買い物、しょっちゅう行ってたなー。水着を買うときまでついてきてもらってたのは、今考えるとどうかと思うけど。

 そんなことを考えていたら、家までもうちょっとだ。

響「この路地を通ってった方が近いんだよね……」

 立ち止まり、近道をしようかどうか考える。
 少し細くて暗いけど、とにかく一刻も早く帰りたくて、結局自分は路地裏に入った。
 それが、間違いだった。いや、後になって考えると……そうでもないかも?

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 18:31:22.67 ID:6y26PxMA0
響「あ、あれ……?」ガクン

 急に脚に力が入らなくなった。
 心臓の鼓動が急に速くなって、すごく息苦しい。

響「はぁ……はぁ……うぐ」

 自分はそのまま地面に倒れ込んでしまった。

 目の前がチカチカする。沖縄の家族や、家で待ってるみんなの顔が、何故か浮かんでは消えていく。
 も、もしかしてこれソーマトーってやつか!? 死ぬのか、自分?

 人が通る気配は全くない。こんなことなら、素直に大通りを歩けばよかった。

響「イヤだ……誰か、助けて……」

 死にたくない。今自分が死んだら、家族はどうなるんだ。

響「助け……て……」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 18:40:24.41 ID:6y26PxMA0
一同「!」

いぬ美「わんっ! わんわんっ!」

一同「」ガタン ガタガタガタッ

ゾロゾロォ

大家「…………」

大家(が、我那覇さんの部屋から何かいっぱい……)ガクガク

大家(私は何も見てない! 私は何も見てない!)

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 18:45:54.17 ID:6y26PxMA0
…………

「さっきの人、大丈夫かなぁ……あんまり元気じゃなさそうだったし、心配です……」

「何の話? それより、早く帰ろう。かすみたち、待ちくたびれちゃうよ」

「う、うん……ん? 何か、こっちに走ってきて……?」

いぬ美「わんっ!」ドーン

「はわっ!」

いぬ美「」クンクンクン

「あ、あはは! く、くすぐったいからやめてぇ!」

「こ、こらぁ! ねーちゃんから離れろ、わんこ!」

いぬ美「」パクッ ダダッ

「あ、ああ! せっかく買ったもやし持ってっちゃダメですー!」

「ねーちゃん!」

「先、帰ってて! あの子、追いかけてくる!」

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 18:51:12.09 ID:6y26PxMA0
…………

「また道に迷っちゃいました~。事務所に帰りたいだけなのにどうしてこんな見知らぬ場所にいるんでしょう私……」

シマ男「」キョロキョロ

「あら? あらあら! 可愛いシマリスちゃん! リスってこんな都会にもいるのね。びっくりだわ~」

シマ男「」キョロキョロ

「何を探してるのかしら? もしかして、お腹が空いてるとか?」

「ペットショップでおやつか何か買ってきてあげようかしら……」

シマ男「!」wktk

タタッ チョコン

「あら~、肩乗りリスなんて夢のようだわ。じゃあ一緒に行きましょうか」

シマ男「♪」

…………

「ここ、どこかしら~?」

シマ男「……………」

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 18:56:29.21 ID:6y26PxMA0
…………

「勢っ! 破っ!」ヒュッ ブンッ

「ふー……雪歩まだかなぁ。暇だから空手の稽古してるけど、もうすぐ30セット終わっちゃうよ……」

「たまには別のメニューにしてみようかなー、どうしよ……」

ヒュッ

「! 殺気!」バッ

「危なかった……! なんだ、今の……こっちの木から向こうの木に何かが飛んで……」

モモ次郎「」ステンバーイ ステンバーイ

「……なるほど。動体視力、反射神経を鍛える特訓か」

「面白い……!」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 19:02:23.66 ID:6y26PxMA0
…………

ねこ吉「ニャーニャー」キョロキョロ

ねこ吉「……ニー」ショボーン

「捜し物……いえ、尋ね人ですか、可愛いお嬢さん」

ねこ吉「ニャ?」

「おや、殿方でしたか。これは失礼いたしました」

ねこ吉「ニャー」

「私も微力ながら手助けいたします、ねこ殿。その様子だと、よほど大切な人と見えます」

ねこ吉「ニャー」

「ふふっ、大切なものは、いつもすぐそばに……」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 19:07:35.34 ID:6y26PxMA0
…………

「ねえ、私がさっき何ていったか覚えてる?」

「はい、お嬢様。『私のウサちゃんが見当たらないから探してくれ』と」

「そうよ、確かにそう言った。でもね……」

うさ江「」ヒクヒク

「誰が本物のウサギ連れてこいっつったのよ!」スパーン

「なんと……もしやお嬢様のおっしゃるウサちゃんというのは、シャルル・ドナテルロ18世様のことだったのですか?」

「他に何があんのよ! あんた何年うちの執事やってんの!?」

「これは失礼いたしました。私、すぐに捜索に戻ります。では」スッ

「ちょっと! このウサギどうすんのよ!」

うさ江「」チョコン

「まったく……」

「…………」ナデナデ

うさ江「♪」

「」キュン

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 19:13:38.52 ID:6y26PxMA0
…………

「たいよーはとっても明るいのに、どーしてこんーなに眠いのー♪」

「すいみん、すいみん、すいみん、すいみん、すいみんぶっそっくー♪」

「この歌好きなんだけど歌ってるとどんどん眠くなってくるの……あふぅ」

「あー、もうダメなの……ちょっとあの公園で一休みするの……」

「たしかこの公園にはミキお気に入りのまったりスポットが……」

ブタ太「」スヤァ

「なんか豚が寝てるの……」

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 19:24:12.30 ID:6y26PxMA0
…………

「あれ? たしか待ち合わせはここだと思ったんだけど……真ちゃんまだかなぁ」

「もうちょっと待って来なかったら電話してみようかな」

ガサガサ

「?」

へび香「」ウネウネ

「」ビクゥッ

(へへへへび!? ななななんでこんなところにへびが!? かまかまれたらたたた大変なことに)

へび香「」ジタバタ

「ひいっ!?」ビクッ

へび香「(´;ω;`)」

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 19:27:54.93 ID:6y26PxMA0
「も、もしかして引っかかっちゃったの……かな?」

「…………」オソルオソル

「……こ、これで動ける、はず……」

ドサッ

「ひぃいぃぃ! ごめんなさいごめんなさい!」

へび香「♪」

「いやぁぁ来ないでぇぇ!」

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 19:34:03.50 ID:6y26PxMA0
…………

「ねえ、さすがにワニを連れて町中を歩くのは目立つんじゃないかなー。っていうか現在進行形で目立ってるよ」

「大丈夫だって! 逆に堂々としてた方がみんな『あ、何かの番組撮影なのかな』って勘違いしてくれるよ。ね、クロコっちー♪」

ワニ子「♪」

「いやー、それにしてもワニを見つけたときにはびっくりしましたなー」

「ホントにねー。最初見たときはてっきりコモドオオトカゲだと思ったからさ」

「いやコモドオオトカゲでもびっくりだよ。むしろそっちの方が驚きだよ」

「どうする? とりあえずケーサツ行った方が良いのかな?」

「んー? もうちょっとお散歩しようよ。クロコっち、何かを求めてウロウロしてるみたいだし」

「りょーかーい」

ワニ子「♪」

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 19:37:22.03 ID:6y26PxMA0
…………

「今日はごめんね。せっかくの休みなのに私の買い物に付き合ってもらっちゃって……」

「ううん、楽しかったよ。それに、そういうときはごめんじゃなくてありがとう、って言って欲しいな」

「うん、ありがとう、春香」

「どういたしまして、千早ちゃ……ぶっ」ゴンッ

「!? 春香、大丈夫?」

「痛たた……なんか顔に直撃した……」

オウ助「イタタ……イタタ……」

ハム蔵「ヂ、ヂュウ」

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 19:42:29.32 ID:6y26PxMA0
「オウムとハムスターね」

「なんでそんなものが私の顔面にクリーンヒットするの? 厄日?」

オウ助「タスケテ……シニタクナイ……タスケテ……」

「ええっ、そんなに重傷なの!? 私の顔にぶつかっただけで!?」

「待って、春香。オウムは聞いた言葉を真似できるだけよ。まあ、問題であることに変わりはないけど」

「! それって……」

「ドラマのセリフを真似するっていうのはよく聞く話だけど……もしかしたら、飼い主さんに何か……」

「ま、まさかー! それこそドラマだよ」

オウ助「タスケテ……ヒビキ、タスケテ……」

ハム蔵「ヂュ」ムクリ

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 19:48:40.66 ID:6y26PxMA0
…………

貴音「さて、探すとは言ったものの、何も手がかりが……」

ねこ吉「にー」

貴音「おや? あれは……」

雪歩「あ、四条さん!」

貴音「雪歩、こんなところで何を?」

雪歩「真ちゃんと晩御飯食べに行く約束してて……それより、見てくださいこの子!」

へび香「」シュロロロ

雪歩「さっき公園の入り口で会ったんです。最初は怖かったんですけど、だんだん可愛く思えてきちゃって……あ、四条さんの隣にいる猫ちゃんは……」

貴音「」バタン

雪歩「し、四条さぁぁぁん!」

73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 19:56:40.83 ID:6y26PxMA0
…………

伊織「はぁ、とりあえず警察に届け出た方がいいと思って外に出たはいいけど……」

うさ江「」ヒクヒク

伊織「…………飼いたい」

伊織「だ、ダメよ私! 私にはシャルルがいるし、何より本当の飼い主が困ってるかもしれないし……」

伊織「はぁ、別れが惜しいわ……これも新堂に頼めば良かっ……」

いぬ美「わふっ」ドンッ

伊織「痛っ! ど、どこ見て走って……って犬?」

いぬ美「わんっ!」

うさ江「!」ピョンッ

伊織「あ、シャルル(仮)! なんでそいつの背中の上に……」

いぬ美「」ダダッ

伊織「あ、ま、待ちなさい!」

74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 20:03:50.53 ID:6y26PxMA0
やよい「伊織ちゃーん!」

伊織「やよい! ごめん、私今ちょっと急いで……」

やよい「わんちゃん来なかった!? 大きくて、もやしの袋くわえてる!」

伊織「え、ああそういえば何か袋をくわえてたような……」

やよい「うー! やっぱり!」

伊織「あいつ、私のシャルル(仮)をさらってそのまま逃げて行っちゃったのよ……」

やよい「れ、連続誘拐犯です! これは捕まえてお説教ですね! 行こう、伊織ちゃん!」

伊織「え、ええ」

76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 20:11:08.27 ID:6y26PxMA0
…………

真「ふっ! はっ!」サッ サッ

モモ次郎「」キュイン キュイン

真「くっ! もはや擬音が生物の出すそれじゃなくなり始めた……なんてスピードなんだ……」

真「でも、まだまだだよ!」

真美「ねえ、あれまこちんじゃない?」

亜美「ホントだ。一人でなにやってんだろうね。完全に怪しい人だよあれ」

真美「近寄りたくな……邪魔しちゃ悪いからほっとこうか。それより、クロコっちの元気がなくなり始めてるよ、どうしよう」

亜美「ありゃ、ホントだ! たぶん水が恋しいんだよ」

真美「いや、単に真美たちが散々連れ回したからじゃないかな?」

亜美「水が恋しいんだよ。あそこに池があるから連れて行こう」ズルズル

ワニ子「」クテェ

80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 20:19:34.52 ID:6y26PxMA0
…………

美希「ねえ、ブタさん? そこ、美希の場所なの、どいてくれないかな」

ブタ太「」チラッ

美希「……起きた?」

ブタ太「…………」フッ

美希「今鼻で笑われたの! そんな気がするの!」

美希「…………」ペチペチペチペチペチペチ(無言腹ビンタ)

ブタ太「」イラッ

ゲシッ

美希「あ、今美希のこと蹴ったでしょ! もー! そっちがその気なら美希も受けて立つの!」スクッ

ブタ太「ブヒッ」スクッ

82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 20:25:51.86 ID:6y26PxMA0
…………

オウ助「ヒビキー、ナンクルナイサー……」バサバサ

ハム蔵「ヂュ」

千早「あのハムスター、すごく大人しいわね。オウムに鷲掴みにされてるのに暴れもしないわ」

春香「千と千尋の神隠しにあんなのいたよね」

千早「ついていけば何かわかるかもしれないと思ったけど、もしかしたら飼い主さんを探してる最中かもしれないし……どうしましょう」

春香「あ、千早ちゃん! あれ、雪歩じゃない? 雪歩ー!」

83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 20:32:55.58 ID:6y26PxMA0
雪歩「春香ちゃん! 千早ちゃん!」

へび香「」キョロキョロ

春香千早「!?」ビクッ

雪歩「そんなに怖がらなくても、すごく良い子だから大丈夫だよぉ」

雪歩「あ、そうだ。今この公園、ちょっと大変なことになってて……二人が来てくれて良かったぁ」

千早「何かあったんですか?」

雪歩「ええと……真ちゃんがモモンガに襲われてて、美希ちゃんがブタと喧嘩中で、亜美ちゃんと真美ちゃんが池にいるワニをおもちゃにしてて、四条さんが気絶してベンチに寝てるんだ……」

春香「どういうことなの……」

85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 20:40:54.42 ID:6y26PxMA0
…………

伊織「あんのデカ犬……逃げ足速すぎよ……」

やよい「うっうー……見失っちゃいました……」

伊織「まだそう遠くには行ってないはずよ。とりあえず探しましょう」

やよい「私のもやし……」ズーン

…………

千早「この動物たちは一体……? どこかの動物園から一斉に逃げ出したのかも……いや、だったらパトカーがこの辺りを見回るはず」

春香「冷静に分析してる場合じゃないよ千早ちゃん! とりあえず真と美希を助けないと」

雪歩「真ちゃんは大丈夫だと思うけど、美希ちゃんが……あっ、マウントポジション取られちゃったよ!」

春香「なんかわき腹を執拗に蹴られてるよ! 地味な戦い!」

千早「春香、萩原さん。実況中申し訳ないけど、向こうからまた何か走ってきたわ」

いぬ美「」ダダダダッ

88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 20:46:34.93 ID:6y26PxMA0
いぬ美「わんっ! わんっ! わおーん!」

いぬ美「………」

モモ次郎「」ヒュンッ ヒュンッ 

真「ざ、残像……!?」

ブタ太「」ゲシッ ゲシッ

美希「お、おにぎりさえあれば……後で覚えてろなの……」

ワニ子「♪」

亜美「めっちゃ気持ちよさそうじゃーん。良かったねー」

真美「クロコっち、ここに住む? 真美んちには持って帰れないし」

へび香「」スヤスヤ

雪歩「あ、あれ、私に巻き付いたまま寝ちゃった?」

いぬ美「…………わん」

92: エロをきたいしているのなら くににかえるんだな 投稿日:2012/07/28(土) 20:52:14.11 ID:6y26PxMA0
ハム蔵「…………」スゥ

ハム蔵「ヂュイッッッ!!!」

動物一同「」ビクゥッ

千早「何? 今のは」

春香「ど、動物たちが止まった」

雪歩「な、なんかみんなあのハムスターのところに集まっていってるよ……」

ハム蔵「」ガミガミガミガミ

ワニ子へび香ブタ太モモ次郎「」ショボーン

いぬ美オウ助「」m9

うさ江「」ウトウト

ねこ吉「ニャ」

97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 20:59:03.13 ID:6y26PxMA0
貴音「この者たちは皆、あなたの仲間なのですね、ねこ殿」

ねこ吉「ニー」

雪歩「四条さん、気がついたんですね!」

千早「どういうことですか?」

貴音「恐らく、この動物たちは手分けして飼い主を捜していたのでしょう。……何匹かは、本来の任務を忘れてしまっていたようですが」

真「あー! 良い汗かいたー!」ツヤツヤ

美希「いたた……酷い目にあったの……」

亜美「あーん、もうちょっとクロコっちで遊んでたかったのにー」

真美「せめてクロコっち”と”って言ってあげようよ」

100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 21:07:02.69 ID:6y26PxMA0
伊織「はぁ、はぁ、ようやく見つけた……!」

やよい「あれぇ!? みなさん揃ってどうしたんですかぁ?」

春香「やよいたちこそ、どうしたの?」

やよい「わたしたちはそのわんちゃんを追いかけて来たんですー! もやしとうさちゃんを取り返すために!」

真「あ、ホントだ。もやしくわえてる」

ゾロゾロ

真美「ちょっ! みんなどっか行っちゃうよ!」

美希「追いかけるの! 勝ち逃げは許されないの!」

伊織「ま、まだ走るの……?」

104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 21:15:08.03 ID:6y26PxMA0
…………

あずさ「ペットショップ、全然見つからないわ~」

シマ男「」ショボーン

あずさ「とりあえず駅前に出たいわねぇ……そうしないと道がわからないままだわ」

あずさ「ええと、方角的に多分向こうよね」

あずさ「……この路地、近道にならないかしら」

あずさ「いえ、やめときましょう。こんなことしてるからいつも迷うのよ……」

あずさ「…………」

あずさ「試しに行ってみましょう」

111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 21:31:15.42 ID:6y26PxMA0
あずさ「あらあら、予想以上に狭くて暗いわ……」

あずさ「やっぱり引き返そうかしら……どうする、シマリスちゃん?」

シマ男「?」

あずさ「わからないわよね、ふふっ。……? あれは?」

響「はぁ、はぁ……」

シマ男「!」ピョンッ

あずさ「女の子……! 大丈夫? しっかりして!」

響「」グッタリ

シマ男「」ユサユサ

113: >>108君には後で謝りたいことがあるんだ 投稿日:2012/07/28(土) 21:36:46.41 ID:6y26PxMA0
…………

亜美「もー! どこまで行くつもりー?」

貴音「恐らく、先頭の彼女が嗅覚で飼い主の居場所を察知したのでしょう」

伊織「ちょっと! なんか狭い道に入ってったわよ!?」

千早「それにしてもよく統率のとれた動きね……一心不乱というか」

やよい「きっと飼い主さんのことが大好きなんです!」

「大丈夫? しっかりして!」

美希「あれ? 今の声は……」

117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 21:46:33.63 ID:6y26PxMA0
真美「あずさお姉ちゃん! なんでここに!?」

あずさ「みんな! 良かった、すぐに救急車を呼んで欲しいの! 今呼ぼうと思ったんだけど、ここがどこなのかわからなくて……」

春香(ですよねー)

響「はぁ……はぁ……」

真「何があったの?」

あずさ「わからないわ。たまたま通りがかったら、この子が倒れてて……」

動物一同「……!」オロオロアタフタ

美希「もしかして、この子が飼い主さんなんじゃないかな」

貴音「ええ、そのようですね」

120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 21:54:32.34 ID:6y26PxMA0
…………

 あれ、ここは……?
 なんか人がいっぱいいるぞ……?
 芸能人みたいに可愛い女の子たちが揃って自分の顔をのぞき込んでる。なんか恥ずかしいぞ……
 あ、そうだ。自分、帰り道で倒れちゃって……あれ? いぬ美たちがなんでここにいるんだ?
 訊こうと思ったのに身体が動かないし、声も出せない。困ったな……

 あれは救急車……? うう、救急車に乗るなんて初めてだから緊張するぞ……
 自分がかつぎ込まれた後、いぬ美たちが乗ろうとして必死で止められてた。あはは、なんだか面白かったさー。
 心配しなくてもすぐ帰るから、うちで良い子にしとくんだぞ、みんな……

ピーポーピーポー

123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 22:02:24.22 ID:6y26PxMA0
…………

いぬ美「くぅーん……」

やよい「飼い主さんに食べさせてあげようとしたんだね、もやし……」ナデナデ

オウ助「ナンクルナイサー……」

千早「それにしても驚いたわ。あんなに動物を飼ってるくらいだから、てっきり裕福そうなおじさんおばさんかと」

春香「私たちと変わらないくらいの年だったね」

伊織「それで? どうするのこの動物たち?」

雪歩「あの子が元気になるまでの間だけでも、事務所でお世話してあげられないかなぁ?」

へび香「♪」

貴音「そ、その蛇を雪歩が相手してくれるというのなら、やぶさかではありません」ビクビク

125: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 22:12:56.90 ID:6y26PxMA0
真「僕もいいよー! むしろこのモモンガくん、レッスンパートナーにしたいくらいだよ」

美希「ミキは……寝床がブタさんに取られなければなんでもいいの。あふぅ……」

亜美「いじっていじっていじり倒してやるぜクロコっち!」

真美「クロコっちのお腹、めっちゃぷにぷにしてるんだよ! みんなも触ってみるといいよ!」

伊織「ま、まあ、うさぎくらいなら可愛がってあげないこともないけど」

あずさ「おやつをあげる約束、しちゃいましたから。ね、シマリスちゃん?」

貴音「異論は無さそうですね。では、とりあえずぷろでゅーさーに連絡してみましょう」

ねこ吉「ミー」

126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 22:19:58.80 ID:6y26PxMA0
…………

響「うう……ん」

響「ここは……」

P「ここは病院」

響「うわっ……だ、誰だ?」

P「すまんすまん、驚かせちゃったな。俺はこういう者だ。はい名刺。……ああ、寝たままでいいぞ」

響「765プロダクション、プロデューサー……。芸能関係の仕事なの……なんですか?」

P「あはは、無理せず自分のしゃべり方でいい。そうそう、君を助けたのはうちのアイドルたちなんだ」

響「あ、アイドル事務所なのか!?」

P「お、おう。というか、あんまり興奮しすぎない方がいいぞ?」

響「ご、ごめんなさい……」

128: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 22:24:00.92 ID:6y26PxMA0
P「君が倒れた原因は過労とストレスのせいらしい。無理な生活はしちゃダメだぞ? って、別に俺は君の保護者でも何でもないんだけどな」

P「手続きとかご実家への連絡も、俺がしちゃったんだ。いらんお世話だったかな?」

響「う、ううん! むしろ、ごめんなさい……迷惑かけて……」

P「気にするな。……沖縄から出てきて、一人暮らしなんだってな?」

響「うん……あ、自分、我那覇響って言います」

P「ああ、知ってる。響……君は覚えてないかもしれないけど、俺たちは何回か会ったことあるんだぞ?」

響「?」

130: 遅筆ですまぬ もうすぐ終わる 投稿日:2012/07/28(土) 22:29:03.69 ID:6y26PxMA0
P「○○プロに所属してたよな? あの動物たちと一緒に」

響「うん……でも、もう……」

P「倒産、か。残念なことだ」

P「現場で響たちを見る度に、ほほえましい気持ちになったもんだ。まあ、君はあんまり動物たちに触れあおうとしてなかったみたいだけどな」

響「……よ、よく見てるんだな。さすがだぞ……」

P「ああ、響をプロデュースできたら楽しそうだと見る度思ってたからな」

響「え?」

P「ゴホン、なんでもない」

132: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 22:32:33.28 ID:6y26PxMA0
響「そ、そうだ! うちの動物たちは?」

P「事務所で預かってるから心配いらないよ。みんな君の家族を気に入っちゃったみたいでな。だから、今はゆっくり休んだ方がいい」

響「あ、ありがとう……もう、なんてお礼を言ったらいいのか……」グスッ

P「早く元気になってみんなを迎えに行かないとな」

響「うん……」

134: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 22:35:49.35 ID:6y26PxMA0
…………

 そんなこんなで退院の日、自分はプロデューサーさんに連れられて765プロに来ていた。

ガチャリ

P「ただいま」

響「お邪魔します……」

春香「おかえりなさい! あ、よくなったんだね! 良かったよー!」

 ドアを開けるなり、一人の女の子が優しい笑顔で話しかけてくれた。
 これぞアイドル、って感じの雰囲気だ。すごいな……

響「うん、ありがとね」

いぬ美「♪」タタタタッ

響「いぬ美! ごめんな、心配かけて!」ダキッ

動物一同「」ゾロゾロ

響「みんなも、ごめん!」ギュウ

135: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 22:39:56.10 ID:6y26PxMA0
雪歩「映画のワンシーンみたいです……」グスッ

やよい「いぬ美ちゃん、っていうんですかぁ?」

響「そうだぞ! ハム蔵、へび香、シマ男、オウ助、うさ江、ねこ吉、ワニ子、ブタ太、いぬ美、モモ次郎だ!」

一同「…………」

 どん引かれた。

響「な、なんで一気に空気が凍るんだ!? 本人たちはすごく気に入ってくれてるんだぞ! なあみんな!」

動物一同「…………」

響「空気読まなくていいからな!?」

136: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 22:43:43.91 ID:6y26PxMA0
オウ助「www」m9

響「せめて何かしゃべれよ! オウムだろ!」

美希「あはは! 何かキミ面白いね! 芸人さん?」

響「そんなわけないだろ! これでもアイドルだったんだぞ!」

真「あれ? じゃあ僕たちの仲間だね。むしろライバルか」

響「でも、今は違うんさー……今はただの勤労学生だぞ……」

響「って、そんなことはどうでもいいんだ!」

139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 22:53:29.82 ID:6y26PxMA0
響「今日はみんなにお礼を言いにきたんだ」

響「迷惑かけちゃってごめんなさい! それと、色々とありがとう! みんなは自分の命の恩人さー」ペコリ

亜美「いやぁ、照れますなぁ」

千早「結局見つけたのはあずささんだけどね。亜美たちはワニ子ちゃんと遊んでただけじゃない」

あずさ「とにかく、無事で本当に良かったわ~」

響「自分にできることなんてたかがしれてるけど、お礼になんでもするから遠慮なく言って欲しいぞ」

真美「ん?」

亜美「今」

伊織「やめなさい」

143: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 23:00:47.63 ID:6y26PxMA0
P「なら、頼みを一つ聞いて貰おうかな」

美希「ぶー、なんでそこでハニーが出てくるのかなー」

響「はにー?」

貴音「蜂蜜のことです。気にしないでください」

P「俺だって結構響のためにがんばったんだぞ?」

響「うん、プロデューサーさんにもすっごく感謝してるさー。自分にできること、何かあるか?」

P「なら、響。765プロに来ないか?」

響「え……」

146: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 23:06:20.23 ID:6y26PxMA0
P「病院で話したときから考えてた。響、アイドル続けたいんだろ?」

響「つ、続けたい……けど、いいのか? 自分みたいな得体のしれないやつ……」

P「そんなの関係ないさ。うちの社長はフィーリングでアイドル選んでるからな。実際、得体の知れなさで行ったら貴音に適うやつなんていない」

貴音「ふふっ、誉められると照れてしまいます」

春香「貴音さんってば、未だに家の場所も教えてくれないんだよー?」

響「そ、そうなのか……」

やよい「うっうー! 響さんとお仕事できたらとっても楽しそうですー!」

真「なんかダンス得意そうなイメージ! 今度一緒にレッスン行こうよー」

伊織「また騒がしいのが増えるのね……まあ、いいけど」

149: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 23:09:47.50 ID:6y26PxMA0
P「あはは、みんな気が早いな」

響「じ、自分は……!」

響「自分は何の取り柄もなくて、東京に来たのだって実家のためにがむしゃらになってただけで……後先考えないで突っ走っちゃうようなバカだけど……」

響「だけど、精一杯がんばるから! みんなよろしくお願いします!」

P「よし、決まりだな」

春香「こちらこそよろしく、響ちゃん!」

一同「ようこそ、765プロへ!」

150: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 23:12:28.99 ID:6y26PxMA0
ハム蔵「」チョコチョコ ピョンッ

響「ハム蔵!」

ハム蔵「ヂュ!」

響「あ……」

響「やっと、口きいてくれたな……」ギュウ

ハム蔵「♪」

貴音「本当に仲良しなのですね、あなた達は」

響「うん、当然だ。なんたって……」

 自分たち、家族だからな!

おわれよ

152: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/07/28(土) 23:13:32.84 ID:6y26PxMA0
終わったので解散していただいて構いません
ことりっちゃんホントごめん

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